2024年11月16日(土)・17日(日)に『Series《踊り場》vol.Ⅲ 』が行われます。会場は舞踏家の武内靖彦さんが運営されている「STUDIO CYPRESS(スタジオ サイプレス)」です。
ニーチェと超人思想と踊り場
この公演のキャッチコピーは第1回から変わっていません。
アナタダケニ 従イナサイ。
「ツァラトゥストラ」より
有名なニーチェの超人思想を表した部分です。
ルサンチマンを否定し、自らに頼り、自らの理想を追求し、仮に命を落とすようなことがあっても自分を貫くことをニューチェは説いています。
この部分を選択して記載するわけですから、「自分たちは、思うがままに踊りを追求する」という強い意志が伝わってきます。
この会場は武内さんの自宅に作られた空間らしいので、その行為だけでも武内さんは綱渡り師のような存在だといえるでしょう(注:綱渡り師について意味不明な人は調べてください)。
さらにこんな一文も添えられています。
不思議な開放感が生まれていた小さなアジール(聖域)的広場・・・
なぜあの空間を《踊り場》と呼ぶのだろう???
踊り場。。。このニュアンスはイマイチ消化できていませんが、由来には諸説あるようです。有名なものとしてはジョサイア・コンドル(https://amzn.to/3O7prhO)が造った「鹿鳴館」での舞踏会が起源だという説があります。舞踏会に向かう着飾った女性たちが階段の途中にある平場で止まりポーズをした姿が踊っているように見えたそうです。他にも宮廷や城などで貴族や王族たちが衣装の披露や簡単なダンスを楽しむ場であったことに由来するという説もありますし、京都の芸子が踊りを披露した空間という説もあります。
集約すると、息抜きの場とも考えられますし、通過地点というニュアンスがあるような気もします。その辺はわかりません。もしかすると公演に集う者たちの魂の解放区的な捉え方をされているのかもしれません。
過去の情報を検索すると、企画自体は田山メイコさんによるものらしいので、田山さんに真意をうかがってみるのがイチバンでしょう。とにかく現時点では想像の域を脱しておりません。正確な情報をお伝えできず申し訳ありません。
会場は席数に限りが! 早めのご予約を!
会場の床面は「8.5×5.2m」らしいので、アトリエ第Q藝術の1Fホールと同じ程度の空間だと言えるでしょう。舞台の広さはわかりませんが、席数には限りがあるようです。
公演は2日間行われ、内容は下記となります。
第一夜:11月16日(土)
・田山メイコ「少年骸骨II」
・田辺知美「日々是々・ひびこれこれ…」
第二夜:11月17日(日)
・関雅子「痂痺」
・武内靖彦「衰微窯」
<公演詳細>
『Series《踊り場》vol.Ⅲ 』
開催日:2024年11月16日(土)・17日(日)
時間:19:00〜(16日)・17:00〜(17日)
料金:1日券3000円・2日券5000円
照明・音響・舞台監督:早川誠司
協力:横滑ナナ 日高明人
写真撮影:小杉朋子
宣伝美術:77SUBERRY
ご予約・お問合せ:
mistica3bee-bee-bee@softbank.ne.jp
会場:スタジオ サイプレス(中野区野方2-24-3)
会場公式サイト:http://studiocypress.tokyo/wp/category/event/
会場マップ:http://studiocypress.tokyo/wp/access/
最寄り駅:JR線中野駅
念のために中野駅からのマップを貼っておきます。
↑画像をクリックすると拡大画像となります。
11月は日が暮れるのが早いので、上記マップや公式サイトのマップだけでは迷ってしまうかもしれません。会場はレンガ調の野方二丁目遊歩道(暗渠)沿いから少し奥に入ったところにあります。私はご近所なので、チャリで探してみました。まだ明るい時間でしたが、少し不安になってしまいました。
そして、見つけたのがこちらです。
もしかすると、暗くなった方が照明で目立っているかもしれません。
ちなみに野方は村上春樹『海辺のカフカ』の舞台にもなっている場所です。ご存知でしたか?
「サイプレス」の意味するものは?
スタジオ名のサイプレスは糸杉(イトスギ)のことです(未確認ですが、きっと、そのはずです間違っていたらごめんなさい)。オーストラリア産のものが一般的で、耐久性・加工性に優れ、害虫にも強いのが特徴の木材です。もしかすると床材がイトスギだからこのタイトルなのでしょうか? いや、そんな安直につけたりはしないでしょう。そこで関連するものを挙げておきます。
「サイプレス(糸杉/イトスギ)」というと、ゴッホの作品『糸杉と星の見える道』が有名です。キャンバスをはみ出した一本の糸杉は、ゴッホの苦悩と不屈を古代のオベリスク(記念碑・象徴)に見立てて表現しているとされています。では、なぜ苦悩や不屈なのでしょうか? じつは糸杉には「死」や「絶望」といった意味があるからです。なるほど! なんて、ここで納得するわけにはいきません。なぜ「死」や「絶望」の意味が糸杉に込められているのでしょうか。それは後述します。
糸杉で他に有名なのが、ダヴィンチのデビュー作品『受胎告知』です。この絵の画面奥には数本の糸杉が描かれています。さらに右手側にも糸杉がうっすらとしたシルエットが浮かんでいます。宗教的な意味合いが強い作品ですので、意味なく糸杉を描くわけがありませんよね。
だんだん「死」や「絶望」の意味に近づいてきました。
『旧約聖書(創世記)』にも糸杉は登場します。第6章に出てくるノアの箱舟のくだりで、神は箱舟を作るように命じます。「あなたは、いとすぎの木で箱舟を造り、箱舟の中に部屋を設け、アスファルトで内外を塗りなさい(創世記6:14-19)」。
ん? これでは「死」や「絶望」というよりも、「生」や「希望」の象徴にも思えてきますね。
しかし、
もっと掘り下げると、「死」や「絶望」へ行き着きます。
イエス・キリストが磔にされた十字架は、糸杉で作られたという伝説があります。また、ギリシア神話では、美少年キュパリッソスが姿を変えられたのが糸杉だとされています。そんなわけで糸杉には、「死」や「絶望」という悲しみの象徴とされているのです。
実際、ネーミングにどのような想いが込められているのかは、わかりません。いつか真実を確かめたいと思います。
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