ハート・トゥ・アート実行委員会の設立は2000年春。「高円寺若者雑学塾(社会教育センター主催・区民企画講座)」での活動の集大成として2000年3月に開催された『ハート・トゥ・アート』終了後、雑学塾の主だったメンバーによって設立される。※イベント開催以前には、市民参加型講座や地域新聞(ミニコミ誌的な冊子『杉並太郎』)の発行などを定期的にメンバーで手がけた。
その後、高円寺『ハート・トゥ・アート』という名称で、アートフリマイベントを定期的に高円寺周辺で開催。高円寺駅前や公園、商店街、公共施設、銭湯、周辺民間施設も巻き込んだ形で開催され、いまでは普通に行われている地域密着型アートフリマイベントの形式の先駆け的存在としてアートシーンに足跡を残した。また、「座・高円寺」オープンに合わせて実施されるようになった高円寺四大イベントの原型的な形を示した存在ともいえる。
イベントのキャッチフレーズは、「もっとも高円寺らしく、もっとも自由なアートイベント」。高円寺という街の「雑多&ごった煮な街のイメージ」や「陰で支える地域住民の懐の広さ」を体現したイベントにしたいという想いからつけられたもの。
イベント内容はアートのフリーマーケット(展示&販売)が基本だったが、各種ワークショップ、無料のアート遊びコーナーなども行った。
あくまでも室内での開催にこだわり、参加していただく作家も思いっ切り独断と偏見による審査で選ぶという生意気な(苦笑)スタンスで、表現でメシを食べていこうとしている人々を紹介する場をめざした。「室内メイン会場に参加できるのは1回限り」というルールを掲げ、常に新しい作家を登場させることも大きな特徴で、初期の頃には批判も多かったが、常に新鮮な参加者が登場するという魅力をもたらし、数多くのリピーターを獲得することにもつながった。しかし、1度参加した作家は屋外会場で参加することとなり、イベント規模がどんどん拡大。弊害としてあまりに会場が分散しすぎたことで、メイン会場への来場者が減少することにもつながった。
第1回から高円寺駅の駅前スペースを使わせてもらい、3回目頃からは駅前を占拠するだけではなく、各商店街に巨大絵画などを展示したり、一日限りの高円寺放送局を行って商店街の店主たちを招いて生インタビューを行ったり、各協力店舗ブースを設けて展示ブースを拡散させたり、地域の人が好きな参加作家選ぶ「○○賞(たとえば、当時、高円寺純情商店街の会長だった林画材さん賞など)」を作って地域と作家の交流を図ったりするなど、現在、一般的に行われているアートイベントの原型を提示した。
イベントは2日間の開催で、来場者1000数百名〜2000名程度(メイン会場のみの実数。延べ来場者数はもっと多かったが、できるだけ実数にこだわった。もちろん駅前や公園などの屋外を含めると大変な数だった)。
第2回開催時に10回開催すると宣言し継続。当初の目標のひとつは『ハート・トゥ・アート』が特別な存在ではなく、一般的にアート関連の催しが増えて日常になることだったので、最終的にひとつの役割を終えた形で第11回の開催後(2005年3月)にイベント自体は休止。
実際のところ、『ハート〜』としての目標は6割程度しか果たせていないと思っていたので中断したくない気持ちも強かったが、結局は諸般の理由で休止することに。諸般の理由というのは、突然降って湧いた「座・高円寺」建設にあたっての杉並区に対する疑問、全般的な区側の体制変化、一部の地域のお偉い方々対する不満などが重なったこと。
その後、ハート・トゥ・アートという団体は形として残しつつ、イベント休止後も、商店街&地域イベントの協力や杉並区区役所ロビー、あんさんぶる荻窪、セシオン杉並といった施設での「てぶちゃん人形による巨大ツリー」展示や会場装飾などの協力、延べ撮影人数2000組を超える「無料写真館」などを不定期で行いつつ、お世話になった「地域」のサポート役として黒子活動などを行う。
2010年9月、セシオン杉並「こどもフェア2010」にて巨大絵本プロジェクトで参加。同年12月「すぎなみNPOフェスタ」では竹楽器コンサート『竹夢物語』&ミニ『ハート・トゥ・アート』展を開催。以前ほどの大きなアピールこそはしなかったが静かに活動を再開しはじめる。また、地域団体と連携しながら東京都新しい公共支援事業(東京都生活文化局)での助成活動「大人と子どもで創る地域コミュニティ」、高円寺地域区民センター協議会との共催「こどもフェア」を継続、ミニ展示「エコーズ(絵交図)」展、「はじっこまつり」などの地域イベント、企画展示、アートコンサート、竹楽器コンサート、アート演劇制作協力、パフォーマンス企画など、多方面に渡るアート活動を展開しながら現在に至る。
第1回『ハート・トゥ・アート』記録映像
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