2025年7月19日(土)、中野「テルプシコール」にて『異形(イケイ)の街に星が降る 孤独の発明 – 4人のダンサーによる即興の場』が行われます。
出演は、古茂田梨乃さん・杉田丈作さん・藤井マリさん・森政也さんの4名。主催はMMI(藤井マリ・森政也・石丸麻子)。石丸麻子さんは音響で参加されます。
MMIの企画は、以前に藤井さんからなんとなく聞いていました。アート性の高い発想を形にし続けている藤井さんと、多方面で活躍中の森さんと石丸さんのお二人が絡む企画なので、「どんなことをやるのかな?」という期待感が大きく膨らむ公演です。
チケット状況は把握していませんが、もう少し席の用意が可能のようです。気になる方はお問い合わせください。
まずはフライヤー画像からご紹介。
こちらです。
公演詳細
お得な「通し券」「学生券」も用意されている公演です。
<公演詳細>
『異形(イケイ)の街に星が降る 孤独の発明 – 4人のダンサーによる即興の場』
開催日:2025年7月19日(土)
開演時間:15時/18時(2回公演)
※開場は30分前(多分)
【出演者】
古茂田梨乃
杉田丈作
藤井マリ
森政也
【照明】成田護
【音響】石丸麻子
【主催】MMI(藤井マリ・森政也・石丸麻子)
入場料:
予約:2,500円 当日:3,000円 通し:4,000円
小学生以下:無料 中高生:1,000円(通し2,000円)
学生:2,000円(通し3,000円)
予約・お問い合わせ:
dance@studio-n.net
もしくは出演者に直接ご連絡を
電話:080-6867-6856(石丸)
会場:テルプシコール(中野区中野3-49-15)
アクセス:中野駅南口より徒歩約5分
公式サイト:https://www.studioterpsichore.com/
Facebookイベントページ:https://www.facebook.com/events/1789122695149942
公演について〜藤井マリさんの言葉
藤井マリさんと公演のことを少しだけやりとりしました。印象に残った言葉を断片的に記しておきます。少しでも藤井さんの気持ちが伝わり、公演へ関心を持っていただければ幸いです。
メインタイトルについて
「個性の違う複数のダンサーが星空の下で踊ったらどんな風景が見えるのだろうと想像して、今回の企画になりました。でも、複数の人たちの中で自分を保つこと、そして一人一人がいい距離を持って関係を作ることの難しさを思い知らされています」
藤井さんは想像力が非常に豊かな方です。公演タイトルが先に浮かんできてから形を作っていくことも多いようです。イメージを膨らませ、さらに象徴的な解釈を探りながら現実とすり合わせる作品づくりをされる印象です。複数の演者が関わりながら抽象的なテーマを作品として昇華させる作業は、面白くもあり、大変でもあるでしょう。
以前に私は藤井さんと二人で企画をやろうとしたことがあります。ダンスと音楽と美術を絡ませた内容でしたが、そのときにも私は藤井さんの豊かな発想力に驚かされました(ちなみに企画は延期中)。
「守破離」に挑戦する公演?
「集団の中で、孤独を発明することは、かなり難しいことです。人間は、 “ 誰かといる時には無意識のうちにその人を意識し、無意識のうちに集団としての行動をとるように作られてしまっている ” ように感じます。踊りも同様に関わり方のパターンを身につけてしまっているようです。できる限り感覚を研ぎ澄ませた状態で、起きること、起こせることに挑戦したいです」
いままで培った “ 逃れられない人間関係の所作 ” を意識しつつ、その縛りから突破する(解放させる)のが今回のポイントだと藤井さんは考えているようです。
これまで育んだ社会性の中から孤独という新しい領域を見つけ出し、身を沈めていく……そんな感じでしょうか。まさに「守破離」という過程と向き合い、演者同士がせめぎ合う公演になりそうな気配を感じます。
演者と観客の関係性
「お客様にしか見えないものがあるので、いろんなことを考える機会になってほしいです。演者とお客様が半々の責任の元に生まれる会となれば」
美術作品を見る場合、作品と鑑賞者とがフィフティフィフティで対話することで関係が正しく成立すると私は考えています。このバランス感覚は説明しにくいですが、作品側が強すぎても、鑑賞者側が強すぎてもいけません。
対話する方法は、いろいろあるでしょう。
今回、私は5人目の出演者の気分になって拝見しようかと思っています。
4名の演者、そして、気になる音響の存在
「集団の即興」ともいえる今回の公演は、出演する4名の「世代の違い」にも注目したいです。勢いのある若手とベテランの動きから何が生まれるのでしょうか。「間」や「ずらし」「共感」「対立」など、孤独を意識した身体的対話はとても興味深いものがあります。
さらに音響を手掛ける石丸麻子さんの存在も気になります。演者として、さらに裏方として大活躍されている石丸さんにとって初めて?の音響クレジットらしいです。全体を俯瞰しながらの自由度の高いオペレーションが演者にどのような影響を与えていくかが気になります。
簡単に5人のプロフィールを紹介しておきます。
古茂田梨乃(こもだ りの)
北海道札幌生まれ。2015年に日本女子体育大学舞踊学専攻卒業。ダンスカンパニーマドモアゼル・シネマに5年所属。その他、大橋可也・笠井瑞丈・入手杏奈などの作品にも出演。現在はジャグラーと共にジャグリングとダンスを織り交ぜた作品を創作し発表している。ライヴハウスでの音楽セッションも多い。(参考:https://zaiko.io/artist/57660 ほか)
杉田 丈作(すぎた じょうさく)
東京生まれ。高校在学中に『ゴドーを待ちながら』に衝撃を受け、演劇を志す。大学闘争を経て、慶應大学文学部美学美術史学専攻を退学。自作自演の演劇公演2回の後、即興の一回性に魅せられる。天使館で笠井叡に師事する。退館後はショーダンサーとして国内及び東南アジアツアーなどを行う。「舞踏は一人一宗」という基本理念のもと、『舞踏石研究所=オドリ手』として即興ソロ、即興セッションを続ける “ 非舞踏家 ” 。テルプシコールでは 「非舞踏会」を定期的に催している。(参考:https://rogoku.akirakasai.com/team-member/sugita-josaku/ ほか )
藤井マリ(ふじい まり)
1984年「感性の誘発作業と重力の~」という言葉に惹かれて出かけた先で土方巽と舞踏に出会う。キッドアイラックホール、アトリエ第Q芸術、テレプシコールなどを中心に多数のソロ公演・企画イベントを主催・出演している。(参考:https://q-art.blog.jp/archives/36655715.html ほか)
森 政也(もり まさや)
1986年9月7日生まれ。宮城県石巻市出身、九州育ち。九州産業大学芸術学部デザイン学科、2013年卒。職業、映像編集者。幼少時より、マンガ家になる夢を持ちつつ、スポーツに明け暮れる日々を送る。大学時代、実験映像と舞踏の先生に出会い、「肉体の記憶」をテーマに、映像・音楽・絵画の制作を開始。上京時より写真の修行に入り、制作は一時停滞。7年の月日を経て、本格的に活動を再開すると同時に、身体的な体験・行為からの表現活動を標榜する「妄想実験集団 Birdweaks」を立ち上げる。工房ムジカなどを中心に幅広い舞踏企画などに出演中。(参考:https://www.petiteadventurefilms.com/20200910/ ほか)
石丸麻子(いしまる あさこ)
2歳よりクラシックバレエを始める。1988年より山田奈々子に師事。2000年代はスガシカオのMV出演やアニメ映画「マダガスカル」の公開記念パレードの振付出演、小劇団のダンス振付などを行う。2013年より山田奈々子門下生で結成したユニット「ASMR」作・演出を担当し、有名アーティストのMVにも振付出演。舞踏作品への出演歴も豊富で、ほかには詩の朗読とダンスのコラボなど、精力的に活動している。さらにはホームページやチラシ作成、音楽編集、動画編集、制作など、多岐にわたる表現を行っている。スタジオn代表として3歳児からから高齢者まで幅広い年齢層を指導中。(参考:https://studio-n.net/about-us/ ほか)
<おまけ>『孤独の発明』について
公演のサブタイトルに出てくる『孤独の発明』という言葉が気になります。
アメリカ現代文学の代表格として知られ、「人間の存在」を追求したポール・オースターの著作タイトル『孤独の発明』(←クリックすると、アマゾンのページに飛びます)が浮かんできます。
オースターの自叙伝とされるこの作品は、亡き父親の人生を見つめ、自らを振り返り、孤独の中から立ち上がる自我(自分の存在証明)が浮き彫りにされていく内容です。
今回の公演はオースターの作品タイトルを意識したわけではないでしょうが、奇妙な感覚の一致を感じました。
以上
コメント