崩壊、あるいは異邦人 12月7・8日開催〜中野テルプシコールにて

12月7・8日に『崩壊、あるいは異邦人ー鈍色の光の彼方へダンスするー 』公演が行われます。会場は中野「テルプシコール」。出演者は、木部与巴仁さん、芝崎健太さん、秦真紀子さん、藤井マリさんの4名。タイトルが気になります。いったいどのような世界が繰り広げられるのでしょうか。

崩壊、あるいは異邦人 12月7・8日開催〜中野テルプシコールにて

崩壊、あるいは異邦人 12月7・8日開催〜中野テルプシコールにて
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神秘的で、刹那を感じさせる公演タイトル

今回のメインタイトルは『崩壊、あるいは異邦人』、サブタイトルとして「ー 鈍色の光の彼方へダンスするー 」という言葉が続いています。

フライヤーの裏面を見ると、ニュアンスが伝わってきます。

 

こちらです。

幼い頃、眠れない夜に宇宙のことを考えた
宇宙には果てがあるの?
果ての端から落ちたらどうなるの?
落ちた先にはまた違う世界があるのだろうか……?
ずっと果てを目指して旅を続けている
果てにはまだ先があることを知った今も
ためらいの一歩と目を瞑って飛び越える
無謀な一歩を繰り返しつつ

遠い眼差し、遠い声、冷たい風が
私を自由にしてくれる。

 

読んでいるとイメージがだんだん膨らんできます。

 

個人的には “ 鈍色の光 ” という表現に惹きつけられました。鈍色とは「にびいろ/にぶいろ」と読みます。暗い灰色のことです。平安時代には喪の色として使われてたそうです。

 

・ ・ ・

 

自分流に言葉を変えてみたい気分になりました。

 

ガラガラと音をたてて宇宙の果てが崩れていく。足元から崩壊していく。私は身を任せて墜ちていく。折り重なっていく鈍色の光の彼方には、いままでの世界の影は跡形もなく消え失せ、闇が迫ってくる。闇の力は強く、いままで何も感じなかったはずの空気に圧力を感じる。私を次第に押し潰していく。搾り上げられるような冷たい風に襲われる。針をさすように痛みが突き進んで来る。連なり堆積した鈍色の沈黙の中で耳を澄ますと、遥か先の闇の中から奇妙な叫びが響いてくる。声が次第に形となっていく。そして私は闇の中に目をさます。

ちなみに、これは有島武郎『或る女』のパクリです。

 

少し脱線しすぎましたね。

 

8月に亡くなったばかりの知の巨人・松岡正剛氏は「松岡正剛の千夜千冊」で有島のことをこう解説しています。

「有島武郎を読むばあい、勘定に入れておかなくてはならないことがある。有島の生き方と作品の生き方とが、あたかも生死の境界をどうやって跨げばいいのかという様相を呈して、互いに矛盾しあいながら立ちはだかってくるということだ」(650夜 『小さき者へ』 有島武郎 − 松岡正剛の千夜千冊 https://1000ya.isis.ne.jp/0650.html

 

今回の公演では、生死の境界……いや、なんらかの境界線が感じられるような体験ができるような気がしています。

 

 

藤井マリさんという、不思議な発想装置

藤井マリさんはアート関係の集まりにも顔を出されている方なので、接点はほんの少しだけあります。

視力が弱い方なので、はるか遠くを見るような眼差しで語る言葉は、まるで夢を見ているような揺らめきすら感じさせられます。

なによりも面白いのが、「へぇ、そんな突飛な発想されるんだ!?」という部分。日常にありつつも見逃してしまうような事柄をきっかけにして、発想を含まらせていく印象です。

先日、初めてゆっくりサシ飲みしましたが、やはり目の付け所が面白い。まずひとつの発想があり、会話の中から新しい飛び石を見つけ、ヒョイヒョイと翔んでいく印象を受けました。

 

・ ・ ・

 

今回の公演の企画は「moonfish art(藤井)」となっています。以前、藤井さんはワークショップなどいろいろ企画していたことがあったそうで、moonfish art はその時に使っていた名称。ちなみにマリさんは月が好きで、moonfish は月で魚がフワフワと楽しそうに泳いでいるイメージだそうです。

 

マリさんは企画者ではありますが、自分の名前を出すのに抵抗感があるようです。その理由は、「参加者全員で同等の立場で創っていきたい」と思っているからです。

 

基本的な構成はマリさんが提案しますが、あとは参加者で試し、話し合い、修正し、新しいアイデアを検討しながら取り入れ、ひとつの公演を創り上げていくそうです。ひとつの公演を出演者全員で作り上げる行為は楽しいばかりではないでしょう。表現者は個性が強いですから摩擦もあると思います。

 

今回の公演も同様の形式で行われ、11回ほどの稽古が行われたそうです。あとは当日のゲネで確認し、修正し、本番を迎える流れとなります。もしかすると本番初日を受けて、何か変わるかもしれません。そんなことは当たり前のことですから。

 

 

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今回の出演者は4人。

 

木部与巴仁さんは「孤高の理想主義者」といった印象があり、確固とした独自のスタイルを持ってらっしゃる方だと感じています。秦真紀子さんは自由になったら、何をやるかわからない奔放さを秘めている方ではないでしょうか。芝崎健太さんのことはわかりませんが、身体能力が非常に高いという話は聞いたことがあります。ここにマリさんが加わり、どのような展開になるのかは見当がつきません。

そして、望月隼人さんのギター、早川誠司さんの照明が加わります。お二人の存在もかなりのウェイトを占めていることでしょう。

 

私は8日の公演にお邪魔します。

 

 

『崩壊、あるいは異邦人ー鈍色の光の彼方へダンスするー 』詳細

『崩壊、あるいは異邦人ー鈍色の光の彼方へダンスするー 』の詳細です。

 

<公演詳細>
『崩壊、あるいは異邦人ー鈍色の光の彼方へダンスするー 』

開催日:2024年12月7日(土)・8日(日)
時間:12月7日(開演19:00)・8日(開演15:00)
※開場は開演の30分前
料金:予約 3500円/当日 3800円
予約:yohani@mac.com 070-5563-3480(木部)

会場:テルプシコール(中野区中野3-49-15)
アクセス:中野駅南口より徒歩約5分
マップ:https://www.studioterpsichore.com/access.html

崩壊、あるいは異邦人 12月7・8日開催〜中野テルプシコールにて

出演 : 木部与巴仁、芝崎健太、秦真紀子、藤井マリ(五十音順)
音楽 : 望月隼人(guitar)
照明 : 早川誠司
協力:岡本リヨ
宣伝美術 : 小笠原幸介
企画 : moonfish art (藤井)

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