能楽劇への試論 「松風」 10月9日ゲーテ・インスティトゥート東京 ホール

観阿弥作、世阿弥改作とされている「松風」は、現存する能の中でも傑作として知られています。この名作に作曲家・佐藤聰明さんと能楽師・梅若猶彦(うめわか なおひこ)さんが触発されつつ、新しいコラボレーティブパフォーマンスとして発表されるそうです。

能楽劇への試論 「松風」 10月9日ゲーテ・インスティトゥート東京 ホール

今回の公演は二部構成。

第一部では現代劇小品「イタリアンレストラン」を、 梅若猶彦さんとピアニストで作曲家の佐藤慶子さんの共演で上演します。 ウェイター役には深谷正子さんの公演で舞台監督を務めている津田健太郎さん。
<最新追加情報/10月1日更新>
「イタリアンレストラン」の出演者が増えたそうです。新たに追加されたのは、客役の「横田恵さん・石丸麻子さん」のお二人。横田さんは第二部に登場する加藤みや子さんのお弟子さん、石丸さんは舞踊家の故山田奈々子さんのお弟子さんです。

 

第二部は対談とパフォーマンス。“ 能楽劇への試論「松風」 ” と題されたパフォーマンスでは、松風役を梅若猶彦さんが、村雨役を世界的に活躍する現代舞踊家・加藤みや子さんが演じます。通常の能のフィナーレとなる中之舞の部分には、佐藤聰明さんの新しい尺八の曲が、黒田鈴尊さんの演奏によって挿入されます。

対談は日本文学研究者であるジャニーン・バイチマン博士を迎え、 佐藤聰明さんらと能の本質に迫ります。


さて、気になる一部と二部の関連性ですが、そのあたりは不明です。稽古自体も別物として進んでいるようです。津田さんは今回の公演に関して梅若さんから「サーバントになってはいけない。ということだけ指定されました」とのことです。サーバントの意味は、使用人や従業員、奉仕する人を指す言葉です。これがどのような意味を持っているのかはわかりませんが、津田さんは “ 自身の想像力 ” で対応されていくようです。

ちなみに梅若さんは600年ほど続く能楽界の家系。デビューは3歳。9歳で能『土蜘蛛』の主演をされたそうです。単に日本最古の古典演劇である能を伝承するだけではありません。新作能や能の要素を取り入れた現代劇の脚本・演出も手がけています。さらに能楽師としての活動だけではなく、能楽の概念・哲学・内部振付に関する学術研究も行われています。

梅若さんについて検索すると、興味深いインタビュー記事が出てきました。

現在の梅若さんが追求されていることは、「無」への投資(時間と努力を費やすこと)だそうです。

「父は舞台でまばたきをしないことの大切さを、明確な指導ではなく、自らの演じる姿勢を通して教えてくれました。子供の頃、能面をつけずに舞台の上で座ったまま、30分くらい瞬きもせずに一点を見つめていたことを覚えています。照明で視界が歪み、擬似てんかんに近い状態だと感じた。この経験があって、私たちが現実として認識しているものは不安定なものである可能性があること、そして現実のものは必ずしも確固たる安定したものではないことを教えてくれました。先に述べたように、私の「無」への投資は子供時代に始まったかもしれません。私の立場はどこにあるのかと問われれば、多くの人から非常に非現実的だと思われているものに投資してきたと思っていますが、その価値には自信を持っています」

(梅若猶彦:能楽のこだわりと重要性/ARAB NEWS https://www.arabnews.jp/article/features/article_117073/

このインタビュー記事を読むことで、第一部と第二部の意味合いがおぼろげに浮かび上がってきます。お時間がある方は、ぜひ読んでみてください。

 


現代音楽作曲家の佐藤聰明さんのことも気になります。X(旧ツイッター)の記事を貼っておきますので、気になる方は掘り下げてください。

 


 

<公演詳細>

『能楽劇への試論 「松風」』

演目

第一部
現代劇小品: 「イタリアン レストラン」(第三幕のみ上演)
作: 梅若猶彦
出演:男 梅若猶彦、万葉弾き語り音女:佐藤慶子、 ウェイター:津田健太郎、客:横田恵・石丸麻子 他
作曲・演奏:佐藤慶子

第二部
対談:ジャニーン・バイチマン (日本文学研究者)、佐藤聰明 (作曲家)
パフォーマンス:能楽劇への試論「松風」
作曲:佐藤聰明
演出:梅若猶彦
出演:松風 梅若猶彦、村雨:加藤みや子 他
演奏:黒田鈴尊 (尺八)

音響・照明:森政也

日時:
2024年10月9日 (水)
<午後の部> 開場 13:30 開演 14:00 終演 16:30頃
<夜の部> 開場 18:00 開演 18:30 終演 21:00頃

チケット
前売り: https://peatix.com/event/4070525
予約: 「能楽劇への試論」実行委員会
メール oil@e-mucul.com
電話 090-5322-7670 / 080-3506-5522
ご購入いただきました入場券は、当日受付にてお受け取りください。

会場:
ゲーテ・インスティトゥート東京
〒107-0052東京都港区赤坂7-5-56ドイツ文化会館内

主催: 能楽劇への試論「松風」公演実行委員会
制作: 株式会社MuCul、佐藤直陽、石丸麻子、MJU-PR
協力: ゲーテ・インスティトゥート東京
サイト:https://www.goethe.de/ins/jp/ja/ver.cfm?event_id=26006189

 


 

出演者などの関連リンク

・梅若猶彦 『能楽への招待』(岩波新書)https://amzn.to/3BqczjD
・佐藤慶子「MuCuL(ミュウカル)」http://www.e-mucul.com/
・津田健太郎(津田犬太郎)https://www.instagram.com/inutaro_tsuda/
・横田 恵 「加藤みや子ダンススペース(メンバー)」https://asfkdspace.com/profile/
・石丸麻子 「studio-n」https://studio-n.net/about-us/
・加藤みや子 「加藤みや子ダンススペース(アカデミー)」https://asfkdspace.com/
・黒田鈴尊 「オフィシャルサイト」https://www.reisonkuroda.com/
・森 政也 https://x.com/birdweek0907

 


 

『松風』に関する情報

『松風』に関する記事をいくつかピックアップしてリンクしておきます。

・能・演目事典:松風:あらすじ・みどころ
https://www.the-noh.com/jp/plays/data/program_043.html

 

・他の方の『松風』公演は?
https://heart-to-art.net/improart/blog010-matsukaze-20241001/

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