東京駅そばの丸の内オアゾ内の「丸善・丸の内本店4階ギャラリーB」にて 鉛筆画家・土田圭介さんの個展「幻想モノクローム」が行われていました。会期は9月13日(水)~9月19日(火)。私は最終日の午後、ギリギリ滑り込みでお邪魔してきました。
こちらが今回の展示のメインイメージとなっていた作品です。タイトルは「Enter the World of Books」。展示会場である丸善を意識してつけられたものでしょう。まさに土田さんの真骨頂ともいえるファンタジーの世界へ誘うような雰囲気、チャーミングなキャラクターたちが印象的です。
また、いつもに増して奥行き感がある作品だと感じましたが、それにはワケがありました。その説明は後半で。
展示内容について
今回の個展タイトルは「幻想モノクローム」。
まずは土田さんの「ごあいさつ」を紹介します。
こちらです(画像を別画面で開くと、拡大されます)。
念のため文章をの載せておきます。
ごあいさつ
心の揺らぎという
曖昧で形のないものの形を想像し、
鉛筆の縦の線を重ねて描く幻想の世界、
硬い線を重ねることで出来上がる
柔らかい絵肌のここにしかない鉛筆画
色彩のないモノクロの世界は
見る人によって様々な表情を見せます。
今展では原画の他にもポストカードや
カレンダーなどのグッズもご用意して
お待ちしております。
土田 圭介
ちなみに今回の展示案内は三つ折りのゴージャス版です。さすが丸善さんの展示です。
こちらです(画像を別画面で開くと、拡大されます)
鉛筆画家であり、陰影画家でもある土田圭介さん
土田さんのスタイルは、鉛筆を使った縦ラインの集積。
よく見るとわかりますが、鋭く研ぎ澄まされた無数の平行線が引かれています。
メインとなった作品は予想以上に時間がかかったようです。下描きだけでも2ヶ月ほどの時間を費やされ、その後、膨大な数の無機質な縦ラインを緻密に集積させて完成となりました。非常に機械的なラインである線の積み重ねが有機的な世界へと変わっていくのは、土田さんの感性から導き出される陰影のなせる技ともいえるでしょう。そういった意味では、鉛筆画家と呼ばれている土田さんは、陰影画家ともいえるのではないでしょうか。
光の扱いも独特なものを感じさせます。
外部の光源ありきでの陰影ではなく、むしろ描かれたキャラクター内部から浮かび上がってくるような光が幻想的な世界をさらに際立たせているように私は感じています。
展示詳細
鉛筆画家・土田圭介
『 幻想モノクローム 』
会期:2023年09月13日(水)~09月19日(火)
時間:9:00〜21:00
休み:なし
入場無料
会場:丸善・丸の内本店4階ギャラリーB
住所: 東京都千代田区丸の内1-6-4 丸の内オアゾ1階~4階
アクセス:JJR東京駅「丸の内北口」より徒歩約1分
公式サイト:https://honto.jp/store/detail_1572000_14HB310.html
マップ:
↑画像を別画面で開くと拡大されます。
土田 圭介プロフィール
◯土田 圭介(Tsuchida Keisuke)
1974年生まれ、 新潟県出身。20代半ばでものづくりの思いが大きくなり会社を辞め京都造形大学芸術短期大学へ入学、2001年に卒業。
2003年に公募展『二科デザイン部イラスト部門』にて大賞受賞。その後も公募展へ出品し、2010年から画家の活動を始め、個展・グループ展・アートフェアなどで展示。
<主な展示>
2010年 個展「土田圭介展」小野画廊Ⅱ(東京)
2012年 個展「静かな鼓動」EHARA GALLERY(東京)
2014年 個展「こころのままに」ギャラリーニイク(東京)
2015年 個展「光と影と絵肌と」PIギャラリー(愛知)
2017年 個展「土田圭介鉛筆画の世界展」木内ギャラリー(千葉)
2018年 個展「書斎と喫茶展」art lab Melt Meri(東京)
2020年 個展「心の旅 モノクロームの世界で描く心のカタチ」武蔵野市立吉祥寺美術館(東京)https://www.musashino.or.jp/museum/1002006/1002258/1002259/1002272/1002273.html
2020年 個展「鉛筆画展 心の灯り」武蔵野市立吉祥寺美術館(東京)https://www.musashino.or.jp/museum/1002006/1002258/1002259/1002262/1002541.html
<作品の特徴>
描き続けているモチーフは「心」。曖昧で形のない「心」を鉛筆の縦の線を重ねた技法で「形に浮かび上がらせる」スタイル。緻密かつ機械的に描かれる縦のストロークの集積から生み出される揺らぎ、独特の陰影から生み出されるファンタジックな世界。最初のインスピレーションが入口となった新しい世界との関係性を深め、広げていくことで、作品に生命が吹き込まれ、育まれていく。
土田圭介 facebookページ:https://www.facebook.com/TsuchidaPencildrawings
土田圭介 X(旧ツイッター):https://twitter.com/ksk_tsuchida
KEISUKE TSUCHIDA’S ART SHOP:https://tsuchida.base.shop/
SUZURI SHOP:https://suzuri.jp/T-room
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2019年11月に東京・表参道「ギャラリーニイク」で行われた個展「流れる心のままに」の様子をYouTubeに簡単にアップしていたので貼り付けておきます。
吉祥寺美術館などの画像もけっこう撮影しているので、いつか動画でアップしたいです。
吉祥寺美術館の簡単な感想は、ブログにアップしています。
2020年のブログ記事はこちらです。
このブログでは、縦ラインのことを「極細タテ細胞」と表現していますね。このときには線自体が細胞に見えたようです。今回は縦ラインよりも「陰影」が記憶に残りました。時期や作品によっての感じ方の違いは面白いものです。
そして2022年のブログ記事はこちらです。
ビッグチャンスともいえる土田さんの吉祥寺美術館での大規模個展は、2度ともコロナに影響を受ける形となってしまいました。
それを経ての、今回の丸善の展示。土田さんにとっても、非常に有意義な機会だったことでしょう。
では、今回の展示の様子をご紹介します。
展示の様子
今回の展示画像は別画面で開くと拡大されます。
こちらは丸善1階エントランス。これだけ大きな看板がドドーンと出ていると、嬉しくなっちゃいますよね。
4階ギャラリーのエントランス部分。
今回の展示は2017年あたりから2023年の最新作まで、40点ほどの作品が飾られて……いたはずです(正確に数えてなかった汗)。
冒頭にも書きましたが、今回の新作はいつもに増して奥行き感がありました。その理由は、背景の演出によるものでした。よく見ると背景がうっすらと市松模様になっているのです(このつぎの写真参照)。しかも市松模様はキッチリした四角形が並ぶものではなく、多少の歪みがあるように描かれており、これが揺らぎのある奥行き効果につながっていました。
また、いままで使っていたワトソン紙からアルシュ紙に変えたことでの影響もありそうです。
土田さんはいままでミューズが作っているワトソン紙をメインで使用してきたのですが、今回の新作はフランスのアルジョウィギンス社のアルシュ紙を使用されていました。アルシュ紙は硬い紙で、色がのりにくい部分があり、その粗さをフォローするために、いつもに増して緻密な作業が増えたことが、奥行きの深さにつながったのでしょう。
わかりにくいと思いますが、市松模様がうっすらと存在していることがわかりますでしょうか。
こちらも2023年の新作。背景には大量のドクロ。中央二人の頭には翼が生え、胸部分には手が浮遊?しています。少しオカルトっぽい雰囲気の作品でありながらも、暗いイメージを感じさせないもので、むしろポジティブな生命力を感じさせてくれます。
大きな翼が生えたオウムガイにリンゴ風のキャラが乗っている作品。お祭りのパレードをイメージしたもので、最初は浮遊する姿を描いていたそうですが、描いている流れの中で足がプラスされたそうです。
作品やグッズなど、土田さんの世界をたっぷり堪能できる展示でした。
久しぶりにお会いした土田さん。いつものように笑顔。優しい作品性は、やはり人柄がにじみ出たものだと実感。
以上
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今回の記事は以上となります。
最後までお読みいただき、ありがとうございました!
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