『ハート・トゥ・アート』渡辺(@heart__to__art)です。竹箸を使ったことはあるでしょうか? 竹という素材を加工しているので、竹箸はツルッとした感じというより、 “ カクカク ” とした形状が多いような気がします(もちろん商品によって異なります)。なので、木製の箸に比べてモノを掴みやすいメリットがあるんです。
今回はそんな竹箸を半世紀もの間、作り続けているメーカーさんの話です。しかも国産の竹(地元の竹)にこだわり続けているらしいです。なかなか大変そうですが、その頑固さは非常に魅力的ですし、とてもアート性を感じます。
目次
国内の放置竹林問題に向き合うヤマチク(熊本県南関町)の挑戦
サステナブル・ビジネス・マガジン「alterna(オルタナ)60号」の記事に、熊本県にある竹箸メーカー「ヤマチク」の挑戦が掲載されていました。
これです(ネット版)。
国産竹から竹箸、竹害の解決へ(林業トピックス「alterna(オルタナ)60号」)
http://archive.is/CULPd
「ヤマチク」は日本で唯一、国産の竹だけで竹箸をつくっている会社なんだそうです。
これに関しては「えっ? 他にもやってそうだけど……」と思ってしまいましたが、調べてみると(後述)、どうやら竹箸製造に特化している会社っぽいです。
これってかなりスゴイです。つか、儲けがどれだけ出ているのか心配になります(余計なお世話ですね)。実際、記事にも出ていましたが、「ヤマチク」では10人の切子(竹を切る人)から竹を仕入れているそうですが、切子が竹を一本切ったとしても700円ほどしか儲けにならないらしいです。
竹の切る道具、生えている場所、さらに納品の方法(葉の処理など)にもよりますが、一日に大量の何本は処理しきれません。私も都内の庭や竹林に生えている竹を切るお手伝いをしたことが何度もありますが、けっこう大変です。ノコギリで切っていったら、バイト代にもなりません。チェンソーでバシバシと切り倒していったとしても、一週間に50〜80本くらいが限度じゃないでしょうか(この本数はなんとなくの感覚)。けっこうハードな仕事にもかかわらず、一本で700円じゃ……ちょっとやりたくない感じです(汗)。
「メーカーだけでなく切子も儲かる仕組みが必要だ」。記事にはヤマチク社の3代目の山崎彰悟専務の切実な言葉が載っていましたが、所詮は竹箸です。付加価値を付けるにも限度があります。普段使いの箸に高額なお金を出す人は少ないでしょう。
あれこれと想像していると、心配になってきました。。。
しかし、それでも挑戦し続ける「ヤマチク」さん。ぜひ切り開いていってもらいたいです。
そんな「ヤマチク」さんとは、どんな会社なんでしょう。
「竹の、箸だけ。」がキャッチフレーズのお箸メーカー「ヤマチク」
「ヤマチク」さんのホームページに行ってみました。
ここです。
「株式会社ヤマチク – 竹の、箸だけ。」
https://www.hashi.co.jp/
今風のホームページに仕上がっています。
いきなり竹箸の先端部分の写真がクローズアップされています、やはり竹箸らしい “ カクカク ” 感がありますね。しかも先端が尖っていません。小豆つかみには苦慮しそうですが、モノを掴むのに便利だというのは一目瞭然です。
ドローン撮影なども含めたコンセプトムービーもあります。
残念ながら素敵な映像にもかかわらず、再生回数がイマイチ伸びていないようですね。
もったいない。。。
こういうPRって、連携がうまくいかないと、せっかくのサイトや映像がブツ切りになって効果が出にくくなってしまうのが歯がゆいですよね。
もう少しトータルに周知方法を考えると多少は変わってくるような気がします。私が歩合制でもいいからお手伝いしたいくらいです。
・ ・ ・
サイトはネットショップ「stores」にリンクされていました。
ネットショップ「ヤマチク」
https://yamachiku.stores.jp/
商品ラインナップを見ると、100%竹箸のようです。しかも価格もさほど高くないようです。……やはり、これで儲けていくのは大変そうです。
「ヤマチク」さんの魅力を箇条書きでご紹介
さて、竹箸の「ヤマチク」さんの魅力を箇条書きにしておきます。
<ヤマチクの横顔など>
・創業は1963年
・創業時から一貫して竹素材の製品づくり
・創業時は合板メーカーの下請けがメイン(売上9割)
・合板メーカー倒産を機に、竹箸オンリーに
・スーパーに工場スペースを貸して息継ぎ
・西友PB『無印良品』の話が舞い込んで起死回生
・竹箸は加工難易度が高い
・竹の切子(竹を切る人)は減少の一途
・年間500万膳の生産
・連続テレビ小説『ちりとてちん』の箸ブームで注文殺到
・主力商品は「がんこ箸」
・オリジナルブランド「okaeri(おかえり)」が2020年に「Topawards Asia」を受賞
<竹箸ができるまでの工程>
(1)竹切り:福岡の八女、熊本の菊水、和水の切子に依頼
(2)仕入れ:天然の孟宗竹(太さ50〜60センチほどか)
(3)乾燥:適度の大きさに切り、乾燥窯で水分10%まで乾燥
(4)加工:長さを揃え、棒状に整形
(5)塗装:塗料や漆を利用
(6)検品:基準を満たないものはハジく
(7)出荷:ここまでに2週間〜1ヶ月
(8)活用:不合格品は燃料として利用
<竹箸の形状について>
・形は「丸・三角・四角」の3種類
・太さは「細身・普通・太身」の3種類
・一般的な長さは「成人男子で23センチ・成人女子で21センチ」
・塗りは「無塗装(素地)・ウレタン・漆」の3種類
初の自社ブランド『okaeri(おかえり)』で未来を切り開け
OEM(Original Equipment Manufacturing/発注元のブランド)で安定した売上を出していても、やはり先行きは不安定です。
そこで「ヤマチク」さんは自社ブランドの立ち上げに挑戦しました。
それが『okaeri(おかえり)』。
これです。
「竹のお箸を、もう一度、日本の食卓に」をコンセプトに作られました。パッケージにもこだわった逸品です。
まだまだ売上の1%程度らしいですが、こういうのが大きな一歩というものです。
そしてその挑戦を祝うように「Topawards Asia 2020」を受賞。いい感じで追い風になっているようです。
これからの「ヤマチク」さんの活躍が楽しみですね。
「Topawards Asia」はアジアの優れたパッケージデザインに贈られる賞です。よくありがちな応募制のものではなく、独自に審査して決められている賞です。名誉ある賞です。
詳細は下記から飛んでいってください。
Topawards Asia
https://www.topawardsasia.com/
◯『okaeri(おかえり)』パッケージは竹の切り口イメージ
ちなみに『okaeri(おかえり)』のパッケージは竹の切り口イメージしたものだそうです。手がけたのは池田紙器工業。関わった人たちは嬉しかったことでしょう。
池田紙器工業さんのサイトはこちらです。なかなか凝ったサイトですね。スゴイ!
池田紙器工業
https://ikedashiki.jp/
<『okaeri(おかえり)』パッケージデザイン詳細>
Design Company: かつあきデザイン
Creative Direction: 佐藤かつあき
Art Direction & Design: 杉村武則
Package Design: 吉永洋一
そもそも竹箸のメリットって?
竹箸についてあれこれと書いてきましたが、そもそも竹箸のメリットはどんな部分でしょうか。
ポイントはこんな感じです。もちろん好みはあると思いますが、使ったことない方は箸を新しく購入する際に意識してみてくださいね。
<竹箸のメリット>
・木材よりも細く加工できる
・強度が高い
・非常に軽い
・滑らずに掴みやすい(とくに無塗装箸)
・適度なしなり
・吸いつくような箸先
竹の良さを感じたいならば、「無塗装」を選ぶのがベストです。
「箸」の原点・語源について
箸は『魏志倭人伝』や『日本書紀』『古事記』に記載があります。
日本で初めて箸を使って食事をするようになったのは、聖徳太子によるものといわれています。
一般には8世紀頃に「箸食」が広がっていったようです。
「箸」という漢字の部首は「たけかんむり」。非常に竹と密接さを感じさせられます。
そもそも一本の竹の棒を熱して曲げ、モノをつかむ「ピンセットのような道具」が原点だったともいわれていることから、「たけかんむり」が使われるようになったようです。
語源的には諸説あります。「挟むもの」という意味からきたとか、端(はし)の方でつまむからとか、「橋」や「柱」に見た目が似ているとか、鳥の嘴(くちばし)に似ているとか、神と人間をつなぐ間(はし)など……どれも説得力がありますね。
ちなみに統計によると、世界の約3割の人が箸で食事をしているようです。残りは、4割が手、3割がナイフ・フォーク・スプーンとなります。
では!
【竹ニュースを記事にしている理由】
ネット上で見つけたニュースから、「竹」に関係するものを紹介しています。
なぜアートイベントを企画する『ハート・トゥ・アート』が竹ニュースを取り上げるのか? 以前に杉並区のセシオン杉並というホールで「竹夢物語」というイベント企画を5回開催しました。東京楽竹団という竹楽器演奏チームの協力で行いました。
開催した理由は、「竹」という素材が非常にアート的で魅力的だと感じたからです。
現在、「竹夢物語」というイベント企画は休止中ですが、竹を通じて「日本文化の掘り下げ」「文化的情緒&感性の刺激」「西洋音楽とは異なる原始性の探求」などを掘り下げることで何か新しい視点が見い出せると考えています。
東京近郊にかぎらず、全国で竹に関して情熱を燃やしている方、興味のある方からのご連絡をお持ちしております(下記メールまで)。そういった方々と「竹夢物語」を再開したいと考えております。
『ハート・トゥ・アート』(渡辺)
メール:hiroshi-w@pop02.odn.ne.jp
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今回の記事は以上となります。
最後までお読みいただき、ありがとうございました!
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