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2018年秋、日本美術史上最大のフェルメール展開催

投稿日:2017-12-08 更新日:

2018年秋から2019年初夏にかけて東京、大阪で開催

現存するフェルメールの絵画35点中、8点が日本に集結します。これは史上最多点数の展示となります。

 

2018年秋、日本美術史上最大のフェルメール展開催
Johannes Vermeer [Public domain], via Wikimedia Commons
※『取り持ち女』(1656年)の左端の人物。左端の人物をフェルメールの自画像とする説がある。

 

特設サイトはこちら。
https://www.vermeer.jp/

 

現段階で展示が確定しているのは下記4点。

『牛乳を注ぐ女』1660年頃
『マルタとマリアの家のキリスト』1654-1656年頃
『手紙を書く婦人と召使い』1670ー1671年頃
『ぶどう酒のグラス』1661ー1662年頃

残りは2018年4月以降の発表だそうです。

 

下記2カ所の美術館で開催されます。期間は2018年秋から2019年初夏です。
「上野の森美術館」2018年10月5日〜2019年2月3日。
「大阪市立美術館」2019年2月16日〜5月12日。

総合監修はフェルメール研究の第一人者であるアーサー・K.ウィーロックJr.(ワシントン・ナショナル・ギャラリー)、日本側監修は千足伸行(成城大学名誉教授 広島県立美術館長)が務めます。

 

2008年に東京都美術館で開催されたフェルメール展(2008年08月02日〜2008年12月14日)では7点の作品が展示されました。この時の来場者数は93万人。今回は初公開『ぶどう酒のグラス』を含む8点となります。注目度がアップしそうですね。

今回、東京では大混雑を避けるために「日時指定入場制」を導入するそうですので、予定来場者数は60〜65万人程度でしょうか。

 

 

フェルメールが光の画家と呼ばれている理由

17世紀オランダ絵画黄金期を代表する画家、ヨハネス・フェルメール(1632-1675)。裕福な時期もあったようですが、若くして亡くなる直前は戦争(第3次英蘭戦争)の影響もあり、困窮を極めたらしいです。

 

「ポワンティエ(点綴法/てんていほう)」と呼ばれる白や明るい色の小さい点を描くことで光の煌めきを出す技法を用いたことで知られ、光の画家、光の魔術師とも呼ばれています。制作時にはカメラ・オブスキュラ(「暗い部屋」の意味で、写真の原理による投影像を得る装置)を用いて研究もしていたそうです。

ラピスラズリを原料とするウルトラマリンブルーを多用した鮮やかな「フェルメール・ブルー」も有名です。

岩絵の具を用いて緻密な質感の追求を行うなど、リアリティを真摯に追い求めた作家の一人です。

しかしリアリティを真摯に追い求めながらも、一方で過剰なリアルを排除していったことが作品に凛とした品格をもたらしていると感じています。

 

 

2018年秋、日本美術史上最大のフェルメール展開催/『牛乳を注ぐ女』
Johannes Vermeer [Public domain], via Wikimedia Commons
※『牛乳を注ぐ女』アムステルダム国立美術館所蔵

今回の展示にやってくる『牛乳を注ぐ女』は光の表現がとくに秀越なことで知られています。全体を包む柔らかな光、割れた窓ガラスの光の変化、パンの質感、エプロン部分のフェルメール・ブルー、さらにはテーブルを台形に描いていることろなど、見所が集約されています。

 

 

カメラ・オブスクラが絵画制作に活用されたのは15世紀頃

イタリアのルネサンス期を代表する芸術家、レオナルド・ダ・ヴィンチもカメラ・オブスキュラを写生に利用していました。

 

カメラ・オブスクラが絵画制作に活用されたのは15世紀頃 レオナルド・ダ・ヴィンチ
Leonardo da Vinci [Public domain], via Wikimedia Commons
※トリノ王宮図書館が所蔵するレオナルドの自画像。1513年 – 1515年頃

 

カメラ・オブスキュラによって遠近法の確立され、写実主義がはじまったともいわれています。

これはダ・ヴィンチの手稿集のひとつ、『アトランティコ手稿』に書き残されたメモ。地球儀らしいきものを板に開けた孔からを見て絵を描いている様子(ミラノ/アンブロジアーナ図書館所蔵)。

 

カメラ・オブスクラが絵画制作に活用されたのは15世紀頃 レオナルド・ダ・ヴィンチ
出展:https://www.dartmouth.edu/~matc/math5.geometry/unit14/unit14.html

 

 

「天空の破片」とも呼ばれたラピスラズリ

当時、ラピスラズリは非常に貴重な鉱石で、フェルメールの時代には金よりも貴重だとされていました。

「天空の破片」とも呼ばれたラピスラズリはアフガニスタンでしか産出されていなかったために海路で運ばれたそうです。「ウルトラマリン」という呼び名は、はるばる海を越えて運ばれてくる青という意味で名付けられました。



ゴダールにも影響を与えた光の画家、フェルメール

検索すると1998年に『フェルメールの囁き』という、フェルメールの絵画にインスパイアされた夢物語を監督した安藤紘平さんの上映会での話が見つかりました(『webDICE』/http://www.webdice.jp/dice/detail/982/)。

 

それによるとヌーヴェルヴァーグの旗手であるジャン=リュック・ゴダール曰く、一番初めにインスパイアされた映像作家を「フェルメールだ」と答えているようです。また、ジャン・コクトーも「フェルメールの描いているものは、彼が描いていないものを描くためにある」と語っていたそうです。

 

また、サルバドール・ダリがフェルメールを絶賛し、フェルメールをモチーフにした作品を描いているのは有名ですね。

 

きっと来秋はものすごいフェルメールブームになるんでしょうね。私は観に行かないですけど。。。だって長時間並んで、その挙げ句に人混みにまみれて……そこまでして絵を観たくないんです。

ごめんなさい。。。

 

<余談>
『日経おとなのOFF 2018年 01 月号』が売れているみたいですね。2018年の展覧会情報が全部載っているみたいです。さらにアート・デザインの雑誌のカテゴリーで1位だそうです。「フェルメールクリアファイル」「美術展ハンドブック」「名画カレンダー」の3大付録が魅力的です。

 

安藤紘平さんが翻訳した『映画を書くためにあなたがしなくてはならないこと シド・フィールドの脚本術』は脚本を書かれる方のバイブルとも呼ばれている一冊です。

 

 

フェルメールの『真珠の耳飾りの少女』は東洋の神秘の象徴なのかも?

『真珠の耳飾りの少女』『真珠の首飾りの少女』など、フェルメールが描く少女には真珠などの装飾品がセットで登場します。「サイズ的に大きすぎやしないか?(現在はかなり大きな真珠も養殖されていますが、当時はそこまで大きなかった気がしますので)」などと思ったりしますが、それは野暮な意見ですよね。

 

フェルメールの『真珠の耳飾りの少女』は東洋の神秘の象徴なのかも?
Johannes Vermeer [Public domain], via Wikimedia Commons
『真珠の耳飾りの少女』(1665年?)

 

この作品は「オランダのモナ・リザ」とも呼ばれています。

大きな真珠の存在によって、さらに光が美しく描き出されることになりました。きっとフェルメールが意図的に大きくしたんでしょう。

さて、フェルメールの生きた時代は東インド会社が活躍していました。研究者によるとこの真珠はペルシャ湾(バーレーン近海あたり?)から運ばれたと推察されているようです。当時、ペルシャ湾は天然真珠の一大産地でしたから。

しかし、実際にはこんな大きな真珠はフェルメールの手元にあったかどうか? 私はなかったと思っています。どうでもいい推測ですけど。

『真珠の耳飾りの少女』のモデルははっきりしていませんが、フェルメールはターバンに渋い衣装、さらに大粒の真珠を用いることで、東洋の神秘を描き出そうとしてたんじゃないでしょうか。

当時、日本は「黄金の国ジパング」とマルコ・ポーロの『東方見聞録』(13世紀末発行)で紹介され、黄金と真珠の国であると考えられていましたから。※フェルメールの時代はオランダとの貿易は続いていましたが、鎖国によって一層ミステリアスな存在でもありました。

 

マルコ・ポーロの『東方見聞録』(13世紀末発行)で日本は「黄金の国ジパング」と紹介されていた
By Polo, Marco [Public domain], via Wikimedia Commons
日本では『東方見聞録』よなれているが、他国では『世界の記述』(”La Description du Monde”、”Le Devisement du monde”)、『驚異の書』(”Livre des Merveilles”)[1]などとも呼ばれる

 

 

映画『真珠の耳飾りの少女 GIRL WITH A PEARL EARRING』(2003年、イギリス・ルクセンブルク合作)

『真珠の耳飾りの少女』を題材にした映画があります。

アメリカの作家トレイシー・シュヴァリエによる小説が原作で、絵のモデルとされるグリートが作品が完成するまでの過程に大きな影響を与えた、という想像をベースに作られています。

 

17世紀のオランダ。画家のフェルメールの屋敷で使用人として働き始めたグリートは、ある日、アトリエの窓拭きをしたことで光を変化させ、フェルメールの創作意欲を刺激する。パトロンのファン・ライフェンが新たな集団肖像画を注文した。ファン・ライフェンに挑発されたフェルメールは、グリートの肖像画を描くことに。(c)Archer Street (Girl) Limited 2003

主演:スカーレット・ヨハンソン、 コリン・ファース、 トム・ウィルキンソン
監督:ピーター・ウェーバー
上映時間:1時間40分

 

撮影当時、スカーレット・ヨハンソンは19歳だったそうで、この作品でゴールデングローブ賞最優秀主演女優賞にノミネートされました。

監督のピーター・ウェーバー『終戦のエンペラー』などでも知られる親日家です。15歳の時から小津安二郎、鈴木清順、三池崇史などの日本映画を見ていたそうです。

フェルメール役はコリン・ファース。最近は『キングスマン』が話題になっていますね。

ちなみにこの作品は『青いターバンの少女』『ターバンを巻いた少女』などと一般に呼ばれてきましたが、この映画公開によって『真珠の耳飾りの少女』と呼ばれるようになったそうです。

 

 

『真珠の耳飾りの少女 (字幕版) 』です。カスタマーレビューを読むと、かなり光にこだわった映像のようです。

これは『フェルメール 真珠の耳飾りの少女 アートポスター+ヴィンテージフレーム付』の逸品。かなりイイ感じらしいので、プレゼントに最適です。

 



 

 

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